読者からの質問

Anchor読者の皆様から頂いた質問の中から、虎の巻への質問や、読解全般に関わる質問を紹介します。

設問(五)以外の記述問題の字数の上限を75字としていますが、その根拠は何ですか?

二つの観点から、75字以内に収めるべきだと考えております。

まず第一に、文章を書くマナーという観点です。76字以上を解答欄(縦13.5cm×横0.8cmの二行)に書き込もうとすると、文字はとても小さなものになり、可読性が下がります。答案は他人に見せる文章ですので、読みやすい大きさの文字で書くことは当然のことでしょう。

第二に、答案の横幅という観点があります。答案の横幅を目安としますと、解答欄に60〜70字程度書き込むことのできる文字の大きさが想定されていることがわかります。解答欄は横幅も指定されているのですから、当然それもある程度目安として考えるべきでしょう。

個別の解答についてアドバイスや添削いただけますか?

申し訳ありません。現在は個別の解答についてのアドバイスや添削は行っておりません。

問題を解くときは、一回本文を読んでから構成フェーズに入るのですか??先に問いを読んでから読解に入るのですか??

構成フェーズは、本文を読んだ後で問題ございません。

フェーズを分けて説明しているのは、構成フェーズと読解フェーズをごちゃ混ぜにしないでほしい、つまり、設問の要求と本文の読解をしっかり分けて考えて欲しいからです。
これだけ言うと当たり前のことのように感じますが、東大現代文のように問題が難しくなればなるほど、読解ばかりに気を取られて、設問の要求や傍線部自体が疎かになりがちです(こうして誤答をしてしまっている解答を予備校模範解答でも時折見かけます)
また、東大現代文のような良問でしたら、設問が本文の内容の整理を促すような構成になっておりますので、設問に目を向けることは本文の整理にもつながります。

ですので、質問の回答としてまとめると以下のようになります。

  • 本文を読んでから(もしくは読み進めながら)設問を見る、と言う順番で問題ありません。
  • ただ、設問を解く上では、構成フェーズと読解フェーズはぜひ分けて考えて欲しいです。
  • そして、まず構成フェーズを考えて、設問の要求をしっかり把握してから、本文に戦えるのがオススメです。
  • また、東大現代文のような良問でしたら、設問が本文の内容の整理を促すような構成になっておりますので、設問に目を向けることは本文の整理にもつながります。

(平成24年度第1問の答案を見せながら)点数が伸び悩んでいるのですが、私の答案を見て、つまづいているポイントを教えてください!

現代文で良い点数を出すまでの流れを次のモデルで考えてみたいと思います。

Step①(生徒が)問題文を正しく読む
Step②(生徒が)設問を正しく理解する
Step③(生徒が)答案を書く=①と②で理解した内容を文章で表現して採点者に伝えようとする。
Step④(先生が)採点する

(正しく、とは書きましたが、正解は1つに定まらないこともあります。ここでは便宜上ひとまず「正しく」と書かせてください)
①のところで躓くと、いわゆる「誤読」になります。
②で躓くことにはまだ「誤読」のような明確な名前はついていませんが、答案を見ているとよく見かけるパターンでもあります。要は「本文は読めているけど、設問の要求とズレているよね」という状態です。
ただ、②に関して厄介なのは、「悪問」の存在です。悪問というのは、設問の要求が不明瞭であったり、設問が本文の理解を捻じ曲げるような誘導の仕方をしているものです。
悪問に当たってしまうと、②のプロセスが通行止め状態になりますので、正しい採点ができない!ということになってしまいます。
③は、国語力の中でもいわゆる表現力と言われる部分です。本人の中では正しく理解できているのに、文字数制限や時間制限を突破できずに答案に反映できていない、ということもよくあります。
④は、これは採点者の問題になります。当たり前ですが、採点する人が間違いをすると、正しい点数は出ません。
ただ、世の中の困ったことは、採点者が間違っていることがあり得るということです。
ちゃんとした問題の理解をして、それを適切に表現して答案を書いていても、採点者の誤読や思い込みで低い点数をつけられてしまうことはあり得ます。
(何でもかんでも採点者に責任を押し付けてはいけません、しかし、「それって本当なの?」という疑問を持って、自分の頭で考えてみたり質問して議論したりしてみることは現代文に限らずとても重要なことです。)

さて、前置きが長くなりましたが、このモデルになぞらえて、まず質問者さんの東大現代文平成24年度の答案を拝見して思ったことを書かせていただきます。
質問者さんの答案を見ると、理解し表現している部分は、しっかりと正しくできているが、所々抜け漏れがある、というように思えました。
(つまり、答案で言及している部分については正しく読解し表現できているように見えるが、そもそも言及できていない部分が所々ある、という状態だと感じました)
※もちろん、短い時間で全ての内容をしっかり答案に反映することは難しいので、質問者さんの答案がよくかけているからこその、発展的な内容だとお考えください。

例えば、設問(一)で言えば、「機械論的自然観」については触れられていますが、「原子論的還元主義」については触れられていません。「物心二元論」はこの二つから生じるものですので、両方について言及するのがよろしいと思います。
設問(二)について言えば、傍線部にある「賛美」について捉え切れていないように見受けられます。「自然の意味や価値は主体によって与えられる」ということだけでなく、それだからこそ、<自然への賛美が人間精神への賛美にしかならない>こと、裏を返せば、<いくら自然賛美の言葉を並べても、自然自体が持っている個性や価値を賛美することにならない>ということまで言及する必要があります。
設問(三)について言えば、 近代科学の態度自体についてはよく理解されているように見受けられますが、この設問のキーポイントは<近代科学の態度>と<テクノロジーによる自然利用の態度>が同じ構図にあることですので、後者の方について(傍線部の前後で述べられている部分について)の言及が不足しているように思えます。

さて、個別の設問についての話から、総論としてのアドバイスに戻ります。
先ほどのモデルになぞらえてこのことを考えて見ると、以上のことの原因は次のどちらかなのだと思います。

◇Step①の設問を理解することにおいて、本文内の記述の一部だけを取り上げて論理を構成してしまっている。
◇Step②まではよくできているが、Step③の答案を書く際に、読解した内容の一部しか答案に盛り込めていない。
※つまり、Step②については大きな問題は無いのかな、とお見受けします。

このどちらかに問題があるかについては、実際に質問者さんが問題を解いてらっしゃる様子を知ることなしには判断できません。
ですので、この場では「こうだ!」ということは申し上げられませんが、ぜひ質問者さんがご自身の課題を探る助けになったら嬉しいです。